2018年1月10日水曜日

竹筒


フィリピンの竹の蓋つき容器です。
手に入れたときから竹にひびが入っていたかどうか、ずいぶん前のことで覚えていませんが、それにしても、こんなには割れていなかったと思います。

 
とくに蓋のひびは、盛大です。
 

その亀裂を、ばらばらにならないように食い止めているのが、この巻いてある紐です。
素材は何でしょう?
針金かと思って磁石を当ててみましたが、針金ではないようでした。持ち手に使っている紐と同じ材料だとすると樹皮でしょうか。


容器本体も蓋も、二か所ずつ溝に削ってありますが、どちらも実際に紐を巻いてあるのは一か所ずつです。
しかも紐を巻いていない溝は、溝にかかって、紐を通す穴を開けてあるので、最初から紐を巻く気がなく、装飾のためだけに彫ったのかもしれません。

それにしても、二か所巻いておけば、割れは少なかったでしょうか?


いえいえ、一か所とはいえ巻いてあってもこんなに割れているのだから、割れる力は防ぎようがなかったでしょう。
竹は激しく使わなければ、そうそう割れません。細工した後からこんなに割れること自体、なんだか面白い現象です。
 

この竹筒は、いったい何として使われたものでしょうか。
縁が薄く削られているので、水筒としてつくられたのでしょうか?
竹の器で水を飲んでみればわかりますが、縁が厚いのと薄いのでは、飲みやすさが違います。

皮を削り取られた部分には、全く割れがありません。
この竹が、もともと時間が経つにつれて割れやすい竹なら、皮さえはぎ取っておけば割れないと知っていたと思われるのに、そうしてないのにも理由があったかもしれません。

カンボジアのラッタナキリ県の村で、水入れのひょうたんをいただいたとき、
「一度でも水を切らしてはいけない、いつも水を満たしておくように」
と教えていただいたことがあります。水を入れたり入れなかったりと適当にしていると、中にカビが生えて水が汚染され、お腹を壊すそうです。もしかしたら、子どもが死ぬとか、悲しい経験があったのかもしれません。

まったくの推測ですが、この容器も、その昔使われていた時は、毎日水を入れておいたので、割れることがなかったとも考えられます。
 

蓋の縁には、素敵な模様彫りがしてあります。
小刀一本でこんな模様を彫るのは、大変だったことでしょう。
 

留め具はないけれど、蓋はしっかり締まって、安心して持ち上げることができます。






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