2017年3月6日月曜日

ギャルソン

骨董市で、玩古さんのおやじさんが、箱の中に、西洋のものと思われる、大きな首だけの人形などを、どさっと入れていました。中に、ヨーロッパやアメリカによくある、仰々しいかぎ針編みのケープを、首人形に着せたものもあり、全体としてはそうとう不気味でしたが、一つ、丁寧につくられた小さなベレー帽が転がっていました。
「誰のかしら?」
ケープつきの首人形を持ち上げてみると、下に暖かそうなコートを着込んだ、ベレー帽の持主らしいセルロイドの男の子がひっそりと寝ていました。
帽子が脱げていたのですが、靴も片方ありません。
「靴があったら欲しいかも」
と箱の中をさらにのぞき込んだら、ありました。
 
 
帽子をかぶせ、靴を履かせたら、完璧な姿になりました。
なんてかわいらしい、暖かそうな姿!
その、手の込んだ仕事ぶりに感心してして見惚れていると、おやじさんが言いました。


「それはイギリスのものだよ。イングランド」
イングランドだって!
おやじさん、やけに浮かれています。

これまで、ネットでですが見たことのあるイギリスの人形を思い浮かべてみました。どちらかと言えば薄気味の悪いものばかりなので、これはイギリスのものではないと思いました。
ドイツかフランスじゃないかしら?オーストリアやスイスのものだと、たぶん、もっとカラフルな民族衣装を着ているはずです。


帰ってから服を脱がしてみたら、背中にFRANCEとありました。


上質のウールニットの服は、小さなホックで留めてありました。


ベレー帽と靴は、なんと本革でつくられていました。


我が家にいる、やはりフランス製のセルロイドの赤ちゃんと並べてみました。
赤ちゃんのセルロイドは硬質で、セルロイド使用の再末期のころのものと思われます。


服もホックではなく、マジックテープで留めてあります。


上質のウールのコートを着込んだギャルソンの方が、赤ちゃんより古いものでしたが、眉など、なんとなく似ています。


さて、日本人は繊細だとか、手先が器用だとか、臆面もなく自分で言っています。
しかし、どうして、どうして。
同じように手足が動くセルロイドの人形と比べてみると、日本のセルロイドの着ているものが、安かろう、悪かろう、まったくの子ども騙しに見えます。


まぁ、つくられた時代が、1940年代から50年代ころか、フランスと日本には経済的な差があったとしても、どう見てもフランスのギャルソンのきめ細かさに軍配を上げてしまいます。

かくいう私も、セルロイド人形に服をつくってやったことがありましたが、最高にシンプルなものをつくるのに、四苦八苦でした。






5 件のコメント:

Bluemoon さんのコメント...

これは、かわいらしいですよね。最初の写真を見て、お洒落~!靴も素敵~と思いました。少しレザークラフトをしていますので。ネクタイというか、それも革ですよね。フランス人と結婚した日本人の友達、フランスでは靴が大事なので子供用の靴も高価な良い品を履かせる、と言っていました。大阪に帰省した時、友達の子供の服装が洒落ていて素敵な革靴を履いていて。この人形を見て、思い出しました。その時、うちの長男、友達の長男、どちらも2歳くらいだったと思いますが。電車に乗って子供たちが窓の方向に向いた時、私は長男の靴を脱がせましたが友達は脱がせませんでした。フランスでは靴を脱がせたりしないから、と。


さんのコメント...

Bluemoonさん
かわいいでしょう(^^♪
そう、首のタイも革、帽子と靴はスェードを外にしています。日本人だったら絶対に思いつかないようなシックな取り合わせでした。
靴は面白いですね。我が家も長男が靴を履き始めるころアメリカにいて、大学の既婚者尞で、一歳半くらいの子どもを持つニュージーランド人、ドイツ人、ブラジル人と4人で、ベビーシッティンググループをつくって、週に一回、3時間ほど4人の子どもをまとめてみるかわりに、あとの3日は子どもを順次預けて、自由に買いものなんかに行くことをやっていました。場所は尞のプレイルームでしたが、ドイツの女の子はいつもかっちりした編み上げ靴を履かされていました。なんでも偏平足気味なので、しっかり土踏まずをつくらないといけないとかで、その靴は土踏まずが飛び出しているようなもので、ときおり女の子が脱ぎたがりました。
やっとヨチヨチ歩きできる年ですからかわいそうと思うのですが、お母さんは断固譲りませんでした。うちの次男は、スポーツ万能ですが、見事な偏平足です(笑)。

Bluemoon さんのコメント...

偏平足用の靴があるのですね。特別なスニーカーを履いて脚を健康面で矯正している次男の友達がいました。その頃幼稚園でした。うちの長男は生まれた時は立派な足裏だったので「生まれる前にどこを歩いてきたの?」って出産祝いに家にお越しになった知人奥さんが言っていました(笑)そのうちにだんだんと偏平足になってきてしまい。主人が長男(6歳)を連れてハンガリーに帰省した時に、小児に詳しい義兄から本をもらい持って帰ってきました。足裏を鍛えて土踏まずを作る本です。積極的にしなかったので偏平足のままです。

Bluemoon さんのコメント...

春さん、これも(笑) 冬場に帰ってきた友達と長男くん、ほんと色あわせがシックでした。また別な日本の友達は被服の先生です。教え子が卒論に使いたいので高齢者の服装を教えてほしいとメールが入ってきました。参考になるように一般的な高齢者の写真を送りました。友達の返信には、高齢者の人たちの服の色が明るくてきれいなことが書いてありました。改めて周囲を見てみると、そうなんですよね。ここは、全体的に色柄が明るいです。

さんのコメント...

Bluemoonさん
あの女の子カテリンは、長男と同じ年ですから、40代も後半、今頃足の裏はどうなっているでしょうかね(笑)。二十歳前後では、高いヒールの靴を履きこなしていたのでしょうか?
日本人の若い女の子は、誰でも膝が曲がっています。特に高いヒールを履くと(履かなきゃいいのに)、ほとんど曲がってしまいますね。それ+内またで歩いている子もよくいるし(笑)。
外国で向こうから東洋人が歩いてきたら、十中八九姿勢で日本人かどうかわかりました。膝が曲がって猫背になっているのが日本人、背がすっと伸びているのは中国人や韓国人でした(笑)。東南アジアの子たちも姿勢がいいしね。
服装のことは、最近では「着てりゃぁいいだろう」の私としては、あまり意見がありません(笑)。大好きな赤いコートも、何年も着ていません。