2016年2月6日土曜日

めんど

 
「ここの「めんど」はどうするんだい?」
大工のおおぬまさんが、切妻の本屋根に垂木を乗せながら、夫に訊きました。
登り梁から向こうが室内です。登り梁と、その真上に置く垂木とのあいだを、めんどでふさがないと、室内と室外を区切ることができません。

「そこまで頭が回らなかったんだ。複雑な形をしているだろう?あとで何とかするからさぁ、そのままやってくれていいよ」
「あとでって...面倒そうだぞ」


めんど板は、面倒なことから「めんど」と言われるようになったという説もあります。
家づくりは、水平の梁に斜めに垂木をかけて屋根を葺きます。水平材の上に斜めに材を置くので、必ずそこに隙間ができてしまいます。そこを、いちいち埋めるのがめんど板です。
そして、登り梁の上に、母屋(もや)を置いてから垂木を置いたので、やはりめんど板がいるのです。

ちなみにカンボジアなど熱帯では、伝統的な家の屋根と壁の間にできた隙間は塞いでいません。そこから外が見えます。
暑い空気はその隙間から逃げるし、どうしても外気を遮断しなければならないほど寒い日はほとんどないので、まったく気にしなくていいのです。


「あのめんど、やってもらえばよかったのに」
「複雑な形だから、ゆっくり考えるよ。そういえば、下屋のめんどは知らないうちに入っていたよ」
と今朝、夫が言います。
「あらっ、そう」
さっそく見ると、垂木と梁の間はちゃんと塞がっていました。


そして、床に同じ大きさの短い木がたくさん転がっているのを見つけました。
大工さんが垂木の端材を割って、めんど板をつくったようです。
 

本屋根を見たら、間隔を測ったのか、めんど板が置いてありました。
 

さて、大工さんたちが来て、垂木の出を切りそろえたあと、めんど板を垂木の間に打ち込みました。材が痩せても対応できるように、ちょっと長めで入りにくいのを無理やり入れたようでした。
面倒な作業なのに、あっというまでした。






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