2015年10月29日木曜日

『もぐらとずぼん』


『わたしのスカート』で、アジアの麻、大麻(たいま=ヘンプ)の糸のつくり方を見たので、チェコスロバキアの絵本、『もぐらとずぼん』(エドアルド・ペチシカ文、ズデネック・ミレル絵、うちだりさこ訳、福音館書店、1967年)で、西洋の麻、亜麻の糸のつくり方も見てみたいと思います。

もっとも、『もぐらとずぼん』の絵は単純化されているし、もぐらがずぼんを手に入れるのですから、実際とは違っていますが、基本は同じだと思います。


ある日、もぐらは素敵な青いずぼんを見て、欲しくなります。


どうすれば青いずぼんが手に入るか、誰に聞いても知りません。
そんななか、えびがにが、
「布を持ってきたら、ずぼんの形に切ってあげるよ」
と言ってくれました。


また、よしきりは、
「ずぼんの形に切った布を持ってきたら、縫ってあげるよ」
と言ってくれました。
でも、肝心の布をどこで手に入れたらいいかわかりません。


もぐらが泣いていると、青い花が、
「わたしの雑草をとったり、虫を追い払ってくれたら、ずぼんが手に入るわ」
と、もぐらに声をかけました。
青い花は、亜麻(あま=リネン)でした。


もぐらは、亜麻をかじっていた虫を追い払い、亜麻の成長を妨げていたタンポポやアザミを抜き、


せっせと水遣りもしたので、亜麻はすくすくと育ちました。


十分育った亜麻は、もぐらに糸のつくり方を教えて、自分を抜くように言いました。
もぐらは亜麻を抜き、亜麻に教えてもらったとおりに束ねて、水辺に運びました。


川で、茎が全部が水に浸かるように重石をして、しばらく置きました。
表皮を腐らせるため、実際は、2~4週間水に浸します。


表皮が腐って繊維がむき出しになった亜麻の茎を干します。


それをコウノトリの噛んでもらって、堅い茎を砕きます。


ハリネズミの針を利用して、梳かせてもらいます。


ふわふわと柔らかい、麻の繊維が採れました。


その繊維を、蜘蛛に撚りをかけてもらって糸にします。

ここで、繊維と繊維をどうやってつなげているのか知りたいところです。綿を紡ぐときのように、ただ引っ張ればそのままのびて、引っ張るのをやめてスピン(撚り)をかけたら次の麻とからまって、つながっていくのでしょうか?
ネットで探したら、亜麻を紡ぎ車で紡いでいる動画がありました。やはり綿と同じように紡いでいました。
亜麻の紡ぎ方は、大麻や苧麻(ちょま=からむし)の紡ぎ方よりずっと簡単だったのですね。


コケモモでで糸を青く染めます。


そして、蟻に頼んで、布を織ってもらいます。
糸の染め方と布の織り方は、あまり参考にはなりません。
織り機の綜絖(そうこう)はきちんとしていますが、筬(おさ)がありません。


できた布を持って行くと、えびがにがずぼんの形に裁ってくれました。
絵を見る限り、とうていずぼんができそうにない裁ち方ですが。


そして、よしきりが縫ってくれました。


もぐらくんは、とうとう青いずぼんを手に入れました。
ポケットに入れているのは、もぐらが土の中で見つけた宝物たちです。

ウィキペディアより
 
亜麻は寒いところで育ち、日本では北海道のみが適地です。






2 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

うわわっ、先週蔦屋書店の児童書コーナーでチェコ(東欧かも)特集として取り上げられていた絵本です!絵は前から見たことあるけど読んだことはなく、へぇチェコの本だったんだ~と思ったばかり。表紙のモグラくんのズボンはてっきりデニムだと思っていたけどリネンだったのねー。裁断の様子を見ると確実に下着のパンツもお揃いで作ってますよね。次回図書館に行った時絶対借ります!春さんは絵本もよくご存じですね。私絵本の記憶がありません。ぐりとぐらぐらいかな。

さんのコメント...

もぐらくんのシリーズはとってもかわいいですね。それにチェコの絵本はどれも素敵です。
私と弟を育てた祖母は絵本とか児童書が嫌いで、小さい頃は絵本すら与えられなくて、飢えていました。従妹の家に行ったら遊びもしないで、弟と本棚の前に座り込んで読みふけりました。叔母も祖母の娘で祖母に同じように育てられたので反動があったのでしょう(笑)、もう絵本も本もいっぱいでした。
でも、私が絵本や児童書にもっと親しんだのは、息子たちを育てたときです。息子に読ませるというより、私が読みたい絵本を買ってしまって。本屋さんに行ったときは、「こっちにしたら?」とか言ったりして(笑)。息子たちが絵本を卒業したあとは、私がひたすら児童書を買っては読んでいました。『床下の小人たち』とか『ヘンリーくん』シリーズなど、いまも大切にしているけれど、息子たちは読んだのかしら?(笑)
段ボール箱で何箱もあった絵本は妹たちの家を廻って、25年ぶりくらいに帰ってきましたが、捨てるどころか、大切にしています。