2015年10月13日火曜日

岡啓輔さんの家


ある雑誌の、自力建設者同士が会って、お互いに建物を見て、対談するという企画で、東京三田に建設中の岡さんの家を見に行きました。
岡さんはもう10年、コンクリートの地下一階、地上四階の家をつくり続けています。


この家は構造計算をして、確認申請も取って、ときどき助っ人もあるけれど、基本的には岡さん一人でつくり続けています。

 
コンクリートを練る機械や、材料の砂、砂利などは地下に置いてありました。

コンクリート打ちの日は、練ったコンクリートをプラスティック箕に入れて、おかもちのような箱にそれを四つ入れ、ウインチで打ち込み現場まで上げて、岡さん自身は階段を上って、そこで流し込み、また地下まで降りて来て、コンクリートを箕に入れてという作業の繰り返しで、そんな日に手伝いに来てくれる人がいると、とても嬉しいそうです。

掘った土は田舎に小山にしてあると言っていましたが、手で掘ったのです。


こんな壁はどうやってつくるのでしょう?
 

上の方に、型枠を使ってつくりかけの現場がありました。


杉の端材を重ねて釘止めして、そこに流し込んでいたのでした。


もともとの設計では、型枠用合板を使い、それを三角に切り、しならせて自在な形をつくるつもりでいたそうです。
ところが、建築設計だけでは物足りないと、鉄筋工などとして働いているうちに化学物質過敏症になり、合板を切ることもできない身体になってしまったので、その方法でつくることは諦めました。


上の階に行くほど、壁や天井は、より自由にのびやかに、装飾的になっています。
型枠の基本は木枠です。最初は木枠に杉板をびっしり貼っていましたが、手間も時間も材料もかかるので、そのうち、ビニールを利用して、もっと簡単につくるようになりました。
 

上の型枠は、わざと隙間をつくっておいて、水糸を張りめぐらせ、それに0.1ミリ厚のビニールをかぶせたものです。
 

これが出来上がった壁です。ビニールのところはコンクリートの圧力で膨らみ、水糸は線になって現れています。


 この壁は、
 

こんな型枠でつくっています。
いま、葉っぱは枯れていますが、フレッシュな葉を使っています。


左が型枠、右ができた壁です。


マンションの谷間、売れ残っていた小さな土地を手に入れての大都会での挑戦なので、お隣は間近に迫っています。


問題は窓でしょう。
岡さんは、しかたなかったらステンドグラスをつくると言っていましたが、どれも開閉しない窓にするとしても、開口部は不定形だらけで、コンクリート工事と同じほどの手間がかかるのではないかと思いました。


まったく、余計なお世話ですが、自分だったらどう窓をつくるか、考え込んでしまいました。
開口部から、他のコンクリートの角が突き出しているところなど、とっても複雑な形をしています。


 





4 件のコメント:

kuskus さんのコメント...

すごい、すごい!
ひとりでの作業はたいへんだけど、ひとりで作っているからこその
自由さ、楽しさの家ですねー。

hiyoco さんのコメント...

コンクリートって乾くと型から上手くカポッて外れるのですか?型にくっ付いたりしないのかしら?葉っぱの型取りは面白いのでコンクリート以外で真似してみたいです!

さんのコメント...

kuskusさん
最終的には、壁が集まって、尖った塔のようにしたいみたいです。
ところが、成田と羽田をリニアモーターカーで結んで、このあたりを再開発する計画の端っこに引っ掛かり、数百メーターとか引くことになるそうです。「ひやぁ、地下室まである、コンクリートの塊の建物が引けるの?」それにもビックリですが、確か床面積を広げなくてはならなくて、その計画図を描いて確認申請をやるまで彼がやらなくてはならないのだったかな、引くのは行政(企業?)としても、彼にも面倒なことが降りかかってきたようでした。
でも根性のある、前向きな人なので、それも乗り切るのでしょうね。計画ではもっと早くできるはずだったと言いますが、どうしてどうして、コンクリート工事は時間がかかります。

さんのコメント...

hiyocoさん
コンクリートは鉄枠でも木枠でも、ちゃんと抜けるようにつくってあれば、ぱかっと抜けます。合板を使う前は細い杉板をパネルにして使っていましたが、つなぎ目だけでなく木目もコンクリート壁にうつって見えたので、古い建物のコンクリート壁は味がありました。
木とコンクリートの間にビニールをはさめば、もっとずっとはがれやすくなります。岡さんの家のビニールを貼ってつくった型枠のところでは、表面が鏡のようにつるつるになっていました。
ただ、水を含んだ生コンクリートはものすごく重く、型枠の隙間を見つけて流れ出ようとするし、合板でつくった型でも、しっかり膨らまないようにしていないと、重圧で膨らんでしまうほどですから、葉っぱの厚みほどでもくっきり出ます。
でも、葉っぱほどの厚みで、しかもビニールをかぶせるとなると、コンクリートや石膏以外の材料で型を取ろうとしたら、よっぽど強い力で押しつけないときれいに出ないかもしれません。重い生コンクリートでさえも、0.15ミリのビニールでは、葉っぱのかたちがぼんやりして、うまく型どれなかったそうです。
だから、もし粘土などを使うのだったら、ビニールははさまない方がいいかもしれません。また、どれとは聞きませんでしたが、葉っぱにも使いやすいのとそうでないのとあるそうです(笑)。