2014年3月20日木曜日

鞠つき猫


骨董市で、がんこさんのおやじさんが、デッドストックの鞠つき猫を持っていました。
「びみょーなんだよね」
「そうね」
おやじさんは三つ、四つ持っているのですが、おもちゃコレクターはセルロイドなら高くても飛びつきますが、 これはどうでしょう?

 
顔と手はソフトビニール、身体はブリキ、鞠だけがセルロイドです。
目が人間の目くさいし、ほっぺも赤いので、猫なのに髭と鼻が不似合で、遊び過ぎて顔を汚した子どもみたいに見えたりします。
ゼンマイを巻くと、かわいらしく首を左右に振りながら、鞠をつく右手を上下させます。

日本は、セルロイドの輸出を主な産業として、1937年には世界のセルロイド総生産の40%を生産、輸出していました。第二次世界大戦でセルロイドの生産は落ち込みましたが、復興の兆しが見えた矢先の1956年、最大の輸出国であったアメリカが、可燃性が強いからとセルロイドの輸入を禁止して、セルロイド産業というか、日本の輸出産業そのものが大打撃を受けました。


この鞠つき猫は過渡期のものなのか、鞠だけがセルロイド。当時、プラスティックはアメリカで開発されて広まりはじめていましたが、まだ技術がなくて、鞠をつくるには重すぎたのでしょうか?


1960年代までは、日本のおもな輸出品目はおもちゃでしたが、1970年代になると自動車やトランジスタラジオと、目まぐるしく変わって行く時代でした。

1968年から70年にかけてアメリカで暮し、幼児を育てていましたが、おもちゃはFisher Priceなど、アメリカ製のものがおもでした。それと、美しいものなら北欧などヨーロッパ製の木のおもちゃで、もっとも安価な、ビニール袋に入った使い捨てのようなおもちゃは香港製、あまり日本製のおもちゃは見かけませんでした。



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