2013年11月30日土曜日

足蹴り遊び


土の風」をのぞいて、ナイフの他にも興味深いものを見つけました。
右の、色とりどりの羽も鮮やかな、羽根です。

それまで、カンボジアの羽根を蹴上げて遊ぶ足のバドミントンは、カンボジア固有の遊びかと思っていましたが、これを見て、中国から伝播したものであることを知りました。
カンボジアにも、タイにもマレーシアにも共通してある遊び(たとえばお手玉)だと、はて、これは中国から来たものだったかと容易に想像がつきますが、タイにもマレーシアにもない、でもカンボジアにあった遊びなので、なんとなくカンボジアの遊びだと思い違いをしていました。たぶん、この足のバドミントンはヴェトナムにもあるのでしょう。
タイやマレーシアにあるのは、おなじみのラタンのボールを蹴る、セパタクローです。

左がカンボジアの羽で、右の賑々しい中国の羽に比べると、おとなしやかです。


カンボジアの羽は四本の羽を、針金で束ねてあります。


そして、羽を束ねたところの丸い盤は、豚の皮でできています。


これに対して、中国のものは、しっかりした羽五枚と、ふわふわした小さな羽根五枚がついています。
羽を留める部品は底と一体型になった柔らかいプラスティックで、れっきとした工場製品です。

丸い盤は豚皮ではなくブリキを打ち抜いたものでできていますすが、中の一枚はちょっと大きめのプラスティックでできていて、鈴をぶら下げてあります。


こんな、難しい字を書いているってことは、中華人民共和国製ではなくて、台湾製ということでしょうか?

私が面白く思うのは、カンボジアではこの羽根がよく遊ばれていて、しかも中国から輸入せず、中国系の人だとしても国内でこの羽根を手づくりにしている人がいることです。

もっとも、買ったのは十年以上前のことですから、今では豚皮に変わって、プラスティックの丸い盤が主流になっているのではないかと思われます。

追伸:
土の風の韓さんから教えていただきました。難しい字を書いていても、大陸中国製で台湾製ではない、中国でもよく難しい字も使われるそうです。
もっとも、注意深く読めば、「中国」と書いてありました。

私、この字は難しくて、まったく読めません。



2013年11月29日金曜日

魚のナイフ

しばらくまえに、フェイスブックでtopcatさんが、中国雑貨を扱っているお店、「土の風」を教えてくださいました。
さっそくのぞいてみたら、興味深いものを見つけてしまいました。


ナイフです。
全部金属でできていますが、その昔、ソウルの仁寺洞(インサドン)の骨董屋さんで買ったナイフに酷似しています。


手元に届いてから並べてみると、やはり同じ文化の中でつくられたものでした。
そこで、「土の風」の店主の韓さんに、失礼とは思いつつも中国のものかどうかたずねてみると、ナイフは中国のものに間違いありませんでした。
すると、私がもとから持っていたものも中国のものである可能性があります。しかし、確か何本かある中から二本選んだと記憶しています。だとすると、韓国のものと考える方が自然でしょう。
おもしろいことに、両地域の人々が使っていたのです。

韓さんによると、ナイフは民時代から清時代に農民が常時携帯していたもので、持ち手は、金属、木、そして水牛の角のものがあったそうです。
形が魚に似ていることから、「魚ナイフ」と呼ばれ、紐や紙を切ったり、馬の蹄を削ったり、煙草を刻むのに使われました。


東南アジアの人々は、ナイフより鉈を持って歩きます。森にはいれば、じゃまな枝などを切り払いながら歩き、道しるべをつけたり、草を刈り倒したりするため、鉈は必需品です。

東南アジアの人々が、大きな鉈で細かい細工をするのを見るのもおもしろいものですが、中国の人、韓国の人は、この小さなナイフで、それこそいろいろなことをしたと思うと、想像するだけで楽しくなってしまいます。


2013年11月28日木曜日

ブリキのナシミエント


なにやら、閉まりの悪いブリキの箱です。


開けてみるとこんな感じ。
みんなぺったんこに収まってはいるのですが、重なり合って厚みができて、輪ゴムでもはめないと、閉まり切りません。


蓋部分の内側は、一部立体的になっています。
キリスト降誕を描いた、ナシミエントですが、厩の外にはサボテンが生えているのが、メキシコのものらしいところです。


下半分、身の方は、どれも折り畳めるようにできています。


これを起こします。


全部起こしてみると、三賢人に羊、馬、牛、ラクダ、象までいます。






2013年11月27日水曜日

虫喰い上人


そろそろクリスマスの飾りつけをする季節になりました。
我が家の、土間入口の常設というか、常駐の方々には、近くへではありますが引っ越ししていただいて、お正月明けまで、間借り生活をしていただきます。


まず、数年前の骨董市で、珍しく夫が気に入って求めた、お坊さまです。あまりにも虫に喰われているので、私は密かに虫喰い上人と呼んでいます。
いったい、どうしてこんなお姿になられたのか、はたきを掛けても食い込んだりするくらい、すかすかのお坊さまです。

家にいらっしゃる方は多いけれど、虫喰い上人に注目される方はまずありません。ところがいつだったか、夫の友人の彫刻家の方がいらしたとき、しきりに褒めていらっしゃったので、もしかしたら私だけが過小評価しているのかもしれません。


タイのシーサーというより、中国スタイルの獅子です。
「あ・うん」一対でしたが、3.11で一匹が割れ、一匹だけ残っています。


そして、空飛ぶ猫。
村中保彦さんの作品です。

主役を他のものたちに譲り、このお三方にはしばらく舞台を下りていただく季節がやってきました。






2013年11月26日火曜日

メキシコの台所道具


メキシコの台所道具のミニチュアを持っています。
でも厚く塗料を塗ったそっけない箱が気に入らないし、アクリルの安っぽいサラペ(布)も気に入りません。いつかつくり替えようと思っていたところ、


先日横浜に行ったとき、中華街の雑貨屋さんでインドネシアのアタでつくった小さな籠を見つけました。立ててみると、縁があるのでちょっと上向きになり、いい感じです。
インドネシアとメキシコだけれど、まっ、いいか。
このアタを使ってつくり直すことにしました。


そこで、接着剤でしっかりとついていたミニチュアをはがしました。
陶器のお皿とマグカップ。


玉杓子と泡立て器のモリニージョ。


モリニージョはかつて、『メキシコの我が家へようこそ』(黒沼ユリ子著、主婦と生活社、1996年)で見つけて、本物が欲しくてさがしたことがありましたが見つからなかったものです。
輪っかが動くのか、洗うのは大変じゃないのか、今でも興味津々です。


チーズおろしとトルティージャを焼く鉄板のコマル。


そしてサルサをつくるすり鉢のモルカヘテ。


さて、籠の中に机と棚をつくるろうかと思っています。
適当な材料をさがさなくちゃと思いつつ、当分はこのまま台所に置いて楽しんでいるところです。



2013年11月25日月曜日


峠を越えたところの建物に、晴れても降ってもこんな男が立っています。
運送会社らしく、トラックなどが停まっています。

写真を撮りたいと思いながら、早幾星霜。
何度かこの男に雰囲気がそっくりなお兄さんたちが、この建物に出入りしているのを見て、怖気づいて撮りそびれていました。


ただ、その日はあんまり空が素敵だったので、車を停めて撮ってしまいました。
反対側、男の顔は、たぶん曇り空の日の方がよく撮れると思うので、また後日撮ることがあるかもしれません。
けっこう間抜けな顔をしています。


2013年11月24日日曜日

八郷クラフトフェア


八郷クラフトフェアも、早いもので20回を数えるということです。


クラフトフェア開催をずっと支えてきた彫金家のうみのさん、その日は派手なライダースタイルで決めていました。
今では八郷の作家さんばかりでなく、出展者は全国から集まっています。


今年のクラフトフェアはお天気に恵まれて、ハングライダーも次々と飛んできます。
クラフトだけでなく、有機農家も野菜、お餅、蒸かし芋など、思い思いの店を出しています。


イカ焼き屋さん。大阪の屋台料理だそうでイカと卵を一緒に焼いていますが、初めて食べました。
MさんとHさん、くりからもんもんのシャツとカツラが似合っています。

神社前では子どもの奉納相撲も行われました。小さい女の子にあっけなく負けた身体の大きい女の子が、土俵に座りこんで、激しく泣いていました。


私が買ったのは人形の埃取りのはけです。


つくばの箒屋さんがつくっているもので、実演もしていました。


それにしても、箒草のまとめ方って、どうしてどこの国でもそっくりなのでしょう。
左からインドネシア、日本、タイのものです。


もっとも、全然違うやり方もあります。
日本の棕櫚箒。


フィリピンの箒は箒草を使っていながら、おもしろいまとめ方をしています。



2013年11月23日土曜日

箱根細工

私の持っている箱根細工は、昨年の夏に、夫の弟から送られてきた夫の母のミニチュアコレクションの寄せ木細工の箱と、入れ子の家だけでした。


いわゆる箱根細工らしい、複雑な模様の箱は持っていませんでしたが、しばらく前に骨董市で、大きさも値段も手ごろな箱を見つけました。


それにしても、箱根細工のつくり方には驚かされます。色目の違う木の板を膠(にかわ)で貼り合わせて、それを切ったり、ずらしてまた貼り合わせたりして複雑な模様をつくり、最後には、鉋で同じ厚みにスライスするというのです。
寄せ木部分が薄すぎるんじゃないか、なんて文句は言えない、複雑、かつ繊細な工程です。


桐の箱に、寄せ木の薄い板を貼ってあるのがわかります。


もっとも、母の遺した寄せ木細工は、中まで寄せ木、つまり金太郎飴のように切った板だけで細工したものです。


箱根細工は、湯治場のお土産物として、江戸末期からつくられはじめました。
その当時から、今のような複雑な模様のものをつくっていたのではないのでしょうが、いつごろから紙のように薄く鉋で削る方法になったのでしょう。


箱根の山の籠かきが、余暇を利用してつくりはじめたと言われていますが、とうてい余暇でできるようなものには見えません。


箱根細工の箱には何を入れようかな?
ハガキを入れるには、ちょっと小さめなので、いまのところ薬を入れています。



2013年11月22日金曜日

ガラスの乳鉢

二週間ほど前、犬のアルシが突然メニエル氏病(のような病気)になりました。
白内障で、三年ほど前から目は見えませんが元気いっぱい、そのときもソファーに飛び乗って、まどろんでいたら突然発病したのです。
もし、お隣の犬のクリがメニエル氏病にかかったことがなかったら、曲がって硬直した身体を見て、どんなに驚いたことかと思いますが、クリを見ていたのですぐわかりました。
この病気に、治療法はまだありません。治癒には二週間から一ヶ月ほどかかりますが、その間、首が一方(アルシの場合は右)に傾いたまま固まって元に戻らず、目が回って方向感覚は失われるので歩けなくなり、それでも歩こうとするので、ぐるぐる回ったり、いろいろなものに激しくぶつかったりします。
斜頸は後遺症として残ってしまうこともあるそうです。

数日は水も飲めない犬もいるそうですが、アルシは水を飲むことも、餌を食べることも何とかできました。ただ、思う方向に歩くことができず、排泄のためには、頃合いを見て外へ連れて行ってやらなくてはなりません。
そして、小さな箱に入れて、できるだけ動かないようにしてやります。

もともと糖尿病も抱えているのですが、一週間ほど経つと元気がなくなったので、血液検査をしていただいたら、ストレスからか肝機能が落ちていました。そのため、野菜の粉末を食べさせたり、薬を飲ませたりすることになりました。
野菜の粉末は、水に溶かして餌と混ぜたらおいしくいただきますが、薬の方はそのつど口に入れるのに苦労します。頑として口を開けないで頑張るからです。

そこで薬はすりつぶして水を加え、注射器で口の中に流し込むことにしました。


いつも、スパイスはインドネシアの石鉢ですりつぶしています。
 

でも、スパイスの色が残っているように、洗ってもしみ込んだ薬が落ちそうにないので、これは使いたくありません。


余談ですが、インドネシアのすりこぎは曲がっています。
下はバリの市場で単体で買ったもので、ヤシの木でできているすりこぎです。


曲がっていて力が入るのかと半信半疑でしたが、握り具合がよくできていて、使い勝手はとてもいいものです。

さて、石鉢がダメなら、磁器の乳鉢にするかと思ったのですが、私の持っている磁器の乳鉢は、一粒の薬をつぶすには大き過ぎる感じがします。
 

と、思い出しました。ガラスの乳鉢がありました。
薬はしみ込みそうにないし、大きさもほどほど、使ってみたら具合よくつぶせます。


薬をつぶしたら少量の水を加え、針のない注射器に取ってアルシの口の中に押し込みます。


ガラスの乳鉢は、直径10.5センチ。
洗うのも簡単で、毎日、薬つぶしを楽しんでいます。