2013年4月25日木曜日

ジャワ更紗


朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で、「夏ばっぱ」が、ジャワ更紗のブラウスを着ています。
白も効いている明るい色遣いの斜め模様の布で、おしゃれです。

その昔、長い髪をきりっとまとめたインドネシアの女性が、茶色っぽいバティクでつくったぴったりした上下を着て、さっそうと歩いていた姿を、たぶんバンコクの空港で、見かけたことがありました。
普通、インドネシア女性はブラウスは無地一色のもの、しかも今は化繊ぽいものをよく身につけていますが、その女性はジャワ更紗で仕立てた袖なしブラウスとサロン(腰巻布)姿で、ワンピースのようなかっこよさでした。
すっかり憧れて、ジャワ更紗のブラウスを仕立ててみたことがありました。ところが残念、ジャワ更紗の、とくに黄褐色は私には顔映りが悪く、きりっとするどころか、薄汚く見えました。
浅黒い肌の彫りの深い顔にはあんなに爽やかに映っていたのに。

ジャワ更紗の基本色は、茶色と藍色です。茶色系の赤から黄土色のバリエーションと、藍の濃淡や、染料の重ね具合で、複雑な色が出ます。
茶色系の染料は、伝統的にはアカネ科のヤエヤマアカネの樹皮や根皮を煮出したもの、藍はマメ科のキアイやナンバンコマツナギの葉を水に漬けて発酵させ、石灰乳を加えて沈殿させた泥藍を使っています。
茶と藍を重ねると黒に近い色になります。

ジャワ更紗はショール、飾り布などもありますが、基本はサロン用につくられるので、だいたい90×180センチほどの布です。
 

雲のような模様の布は、人生の節目のようなフォーマルな時に身につけるものだそうです。模様には一つ一つ名前があり、意味があります。
また、模様で埋め尽くしているのは、悪霊などが入ってこないようにとの考えからです。


これは、生命の木のモチーフでしょうか。サロン布を横にして、三本の木や鳥が描かれています。
この二枚は、三十年以上前に、夫が仕事でジャワに行った時お土産に買って来てくれたものです。何度も服に仕立てようと広げて眺めたりしましたが、とうとう鋏が入れられなかったのですが、服にしなくてよかった。切って仕立てたものは元には戻りませんが、布のままでおけば、少なくてもサロンとしては着用できるし、いつまでも目を楽しませてくれます。


これは古い布の一部ですが、動物づくしの模様が楽しい一枚です。
金魚でしょうか?


魚かな?


鼻の長い象です。
他にもおもしろい動物満載です。


これも古い布。
動物づくしも、藍の単色の布も、どちらも細い細い糸で織ってある、絹のような手触りの木綿布です。


擦り切れて穴が開いたところは、丁寧に補修してあります。


ジャワ更紗には、このように布の一部に三角のぎざぎざ模様が描かれたものがよくあります。
サロンとして巻く時は、この模様を一番目立たせます。
幕末の、新撰組や赤穂義士討ち入りの時の羽織の袖の三角模様は、ジャワ更紗を真似たものと言われています。


拡大したところ。


さらに拡大したところ。
地に小さなドット模様があるのはどこの地方だったか、ある地方独特のものです。
S先生に教えていただいたのですが、忘れてしまいました。


これは化学染料だと思われますが、大好きな色で、大好きな一枚です。


これ、蝋を置いたところが染まりませんから、白いところの方が描き込んであるところなんですね。
細かい模様のものは、完成まで半年もかかるとか、今なお盛んにつくられているバティクです。もっとも、普段用のサロンには、工場製のプリントの方が圧倒的に多くなっていますが。



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