2013年2月26日火曜日

大伯父の箸



切干大根の煮物の写真を撮るために、「取り箸」を添えました。
それで思い出しましたが、母からもらったこの取り箸は、母方の祖母の弟である、母の叔父がつくったものです。

その昔、花入れなど、大伯父がつくったものをいろいろ見たことはありますが、母がいただいて待っていたのは、これだけでした。


母の叔父、私の大伯父は、姉四人から年が離れて末っ子に生まれた一人息子でした。
両親と姉たちから甘やかされて育てられたせいか、働こうとしても長続きせず、結局職らしい職につくこともなく、親の遺した土地や家作(貸家)を切り売りして、最後は無一文になった一生を過ごした人でした。
大伯父の生活は、私が知っていたころはもう売るものも少なくなっていたのか、はたから見ると大変そうでした。子どもが四人いましたが、大伯母は結核で寝たり起きたり、そして若くして亡くなってしまいました。
そんななかで大伯父は悠々と絵や書をたしなみ、手先が器用で竹細工や木工細工物も得意な、根っからの趣味人でした。

謹厳実直(そう)な祖父母に育てられ、小さい頃はうかがい知れなかった、周りの大人たちの生き方。大きくなってから知れば、すぐ身近に未婚の母もいれば駆け落ちした人もいて、
「明治の人もやるなぁ」
と驚きでした。
みんな楽しい人生を送って、よかったよかった。



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