2012年11月13日火曜日

稲刈り


整体師のKさんが、手で刈るより楽だからと、稲刈り機を貸してくれました。
「まずこれを引いて、次はこれ、そしてこれで、これね」
横で聞いていて、目まいがしそうでした。

「よく、一度使い方を聞いただけで、使えるわね」
「あったりまえよ」
私なら、機械の使い方を覚えるくらいなら、手で刈った方がずっとましだと思ってしまいます。

稲刈り機は小さいけれど結構重くて、重機を乗せる板を持っては行かなかったので、軽トラックに乗せるだけで、四苦八苦でした。


まわりはもうとっくに稲刈りが済んでいますが、今年はひこばえが目立ち、あたり一面緑の絨毯のよう。そのなかに、ぽつんと我が家の田んぼだけが刈り残されています。
畦は見苦しいのですが、草を刈るとイノシシがミミズを掘りに来るので、刈らないでおいてあります。

細長い田んぼの、道から一番奥に、谷川を挟んで大きな栗の木が立っています。
おいしくて大きな栗が落ちるので、動物たちがそのあたりだけ、稲を踏み荒らしています。


まあ、このくらいなら、腹も立ちません。


我が家の栗の木がまだ小さい時は、私たちも動物と競争でこの栗を拾っていましたが、自分の家で十分生るようになってからは、みんな動物たちのものです。


柿の木でこんなに大きくなったら、採るのに苦労しますが、栗は勝手に落ちてくれるので、楽なものです。
 

稲は踏み荒らされていますが、赤米はノギが長く、イノシシは食べません。
でも、倒された稲を刈ってみると、誰かがきれいにもみ殻だけ残して食べた跡があります。



柔らかい土の上に、小さいのや大きいの、いろいろな足跡がついていますが、私にわかるのはイノシシの足跡だけです。あとは、タヌキ、キツネ、ハクビシン、アナグマ、アライグマ、テンなどのうちの誰かですが、誰の足跡だかさっぱりわかりません。


楽と言われた稲刈り機は、ぬかるみにはまったり、エンジンがかからなくなったりして、やっぱり使いこなせるまでには、時間がかかりました。
その間、私はせっせと手で刈ります。


稲は、横方向の列で植えてあります。
短い方向からはまっすぐな線で見えますが、縦長方向から見ると、株は並んでいません。機械で刈るなんて思ってもいませんでしたから、短い列で植えていたのです。
その列に沿って機械で刈ろうとすると、何度も重い機械を方向転換させなくてはなりません。それはたいへんな手間なので、夫は列に関係なく縦方向に刈っていきます。


そうすると、株が並んではいないのですから、当然むら刈りになってしまいます。
やれやれ。
全体の四分の一も刈らないうちに、そんなこんなで二人ともへとへとになってしまいました。


「今日はこれくらいにしようか?」
「そうしよう、そうしよう」
二つ返事です。
刈った稲束は、干している間イノシシに遊ばれないよう、家の庭で干します。今年は、はざ掛け用の竹を三本用意していたのですが、あっというまに一本ふさがってしまいました。
「あれっ、今年は豊作か?」
「そうかしらね。去年は一本半くらいしかなかったね」
昨年はまれにみる大不作だったのです。
まだまだ稲が残っています。


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