2011年9月15日木曜日

獅子舞人形



つい先日、旧暦八月十五夜のお月見がありました。

仲秋名月を祝う中国の行事は、日本にも伝えられましたが、東南アジアのヴェトナム、カンボジアなどにも伝えられています。
ヴェトナムやカンボジア(もちろん中国)では、一年のうちこの時期だけ、仲秋月餅を売る特別な店が出現して、いろいろな餡の入った月餅が売られます。
豆の餡のほか、クルミ、蓮の実、豚の背脂、ごまなどいろいろな餡が楽しめるうえに、餡の中にアヒルの卵の黄身がまるのまま入っているのが特徴です。
黄身を月に見立てているのです。

月餅は期間限定で、その他の時期には、食べることはできません。


お正月の獅子舞も、中国からヴェトナムやカンボジアに伝わっています。
その中国へは、もともとはインドのライオン(シンハー=獅子)を崇める仮面舞踊が伝わったもので、東南アジアには、バリの仮面舞踊のように、中国経由ではなくインドから直接つたわった「獅子舞」も見られます。
カンボジアのあたりを、インドシナと言いますが、インドと中国、二大文化圏の狭間の地域では、インドと中国両方の文化が、激しくしかし緩やかに、そして長年にわたって行き交っていたのでした。

ヴェトナム、カンボジアに比べると、距離の問題か、一時期中国系の学校(漢字も)が禁止されていたせいか、タイでは、中国系の人々が多く暮らしているにもかかわらず、お月見(仲秋名月)や獅子舞(中国正月)といった中国文化は、ほんの局所的に見られるだけです。




先日、骨董市で、米沢の相良(さがら)人形の獅子舞の古人形を見ました。江戸時代のものでした。
中国から、日本に獅子舞が伝わったのは、仏教伝来と時を同じくする七世紀だったとか、江戸時代には、すっかり全国に普及していたものと思われます。

私の持っている獅子舞は、昭和の相良人形ですが、大きさやスタイルは、古人形とわりとよく似ていました。違っていたのは色、そして後ろの顔をのぞかせている子どもが、昭和のものは一体になっているのに対して、江戸のものは差し込み式の頭になっているところでした。

そして、見かけた人形は、差しこんであった頭が失われていて、小さな穴が開いていました。
でも、とっても素敵な人形でした。




これは、仙台の堤人形の獅子舞です。明治のものです。
どちらも、子どものかわいさが際立っています。

プノンペンの町を散歩していると、塀で囲まれた空き地に高さの違う杭を何本も立てたところがありました。あるときそこを通りかかると、お囃子が聞こえてきて、高さの違う杭から杭へ、軽業のように飛び移りながら、踊りの練習をしている、高校生くらいの子どもを見かけました。

お正月には飾り立てたトラックに乗ってやってきて、家々の前で移動式のポールを立てて獅子舞をしますが、そこは獅子舞の練習場だったのです。



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