2011年1月25日火曜日

鉄砲のお供





火薬入れと、たぶん弾入れです。ビルマのものです。
火薬入れはいいとして、弾入れは、上が大きく開いています。ドーナツのような部分に弾を入れれば、大きな口からこぼれやすいだろうと思うのですが、どうやって使ったものでしょうか?

バンコクの骨董市場で見つけました。
壊れかけたようなのも含めて、埃をかぶって三つ四つ、箱にどさっと入れてあった中で、一つだけ選ぼうとして、迷った挙句、甲乙つけがたい二つを買って来てしまいました。




火薬入れは木をくり抜いてつくってあり、筒の底には革が張ってあります。




筒の上部には別の木を嵌め、その先にラタン(か竹)でつくった細い口がついて、ラタン(か竹)の蓋がかぶせてあります。




筒の紐を通すところの、細工もていねいです。



そして、弾入れは、ラタンで編んであります。




装着するときに使うのでしょうか? 留め金は、何かの骨でできています。

木をくり抜いて筒をつくるなら、まっすぐな方がずっと簡単そうです。
どうして、火薬入れの筒は曲がっているのでしょう?




これは、ローラ・インガルス・ワイルダーの『大きな森の小さな家』の挿絵です。
ローラのとうさんの弾入れと火薬入れですが、火薬入れは水牛の角でできています。
火薬入れは、ビルマの火薬入れとそっくりです。ビルマの火薬入れは、この形を模したのでしょうか?

『大きな森の小さな家』はアメリカのお話ですが、そこに登場する人たちは、イギリス人やアイルランド人の子孫です。ですから、これがイギリスの伝統的な火薬入れとするならば、東南アジアに鉄砲が伝わったとき、火薬入れも一緒に伝えられたことが考えられます。
ビルマはイギリスの植民地でもありました。

それにしても、ビルマでは水牛の角が手に入りやすいというのに、木彫りの筒を使っているには、なにか理由があってのことと考えられます。



もう一つの火薬入れと弾入れです。
火薬入れはやはり木をくり抜いてつくってあり、底は革をかぶせず、何かをつめて、漆で固めてあります。




口には木の栓をして、それからラタン(か竹)の蓋をかぶせてあります。蓋は割れてしまったので、上下を細いラタンで巻いて、修理してあります。




弾入れのドーナツ状の部分は、なんと針金でできています。
太い針金をコイル状にして、細い針金で編んであるので、頑丈さは、ラタンの比ではありません。

ラタン細工は簡単ですが、針金細工は、すごく難しそうです。
太い針金は曲がりにくいし、細い針金は折れやすい。
そんな針金を使って、こんなに美しい籠が編めるなんて、針金をどうしても美しく扱えない私には驚異です。




この、針金のコイルもみごとです。
もはや、神業のようです。


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