2010年9月24日金曜日

サンプラプーム・チャオ・ティー



タイの家には、敷地の一角に、サンプラプーム・チャオ・ティー(土地の精霊の社)が建っています。その土地の神様を祀る、土着信仰(アニ ミズム)の社(やしろ)です。
スラムの中の、廃材で建てたバラックのような家にも、粗末なサンプラプーム・チャオ・ティーが建っていますし、大きな企業やホテル、学校などの近代建築の敷地にも、建物に見合った豪華なサンプラプーム・チャオ・ティーが建っています。

近年の、特に大都市のサンプラプーム・チャオ・ティーは、ほとんどがコンクリートでできています。
テーブルの真ん中にお社や、ヒンドゥーの影響を受けた祠堂を配してあり、周りには、線香を立てたり、木や石膏でできたミニチュアを供えるための、十分なスペースがとってあります。




信仰心の厚い人たちは、サンプラプーム・チャオ・ティーに、毎朝お線香をあげて、花輪や水を供えます。
宝くじが当たるというので評判になり、「もし当たったら、今お供えしたのよりもっと大きな象を持ってきます」とお願いした人から奉納された、本当の小象ほどもある木彫りの象の置物で、あふれかえっている、有名なホテルのサンプラプーム・チャオ・ティーには、参拝者が絶えません。




サンプラプーム・チャオ・ティーは、家だけではなく、精霊が住む大木や、菩提樹のような聖なる木の前にも建てられています。
木端を使ったもの、トタンと木の組み合わせなど、手に入るいろいろな材料で手づくりされたものもあります。




サンプラプーム・チャオ・ティーにお供えする、水牛、豚、牛、兎、鶏などのミニチュアです。他にも、若い男女や、おじいさん、おばあさんなどがあります。
もともと、ミニチュアは木などでつくられていたのかもしれませんが、今、市場で手に入るものは、全部石膏でできています。




古い形の、サンプラプーム・チャオ・ティーです。
というより、タイ・スタイルの家のミニチュアを、私が勝手にサンプラプーム・チャオ・ティーと思いこんでいるだけかもしれません。

このやしろ(家?)に合う大きさの人形や、お供え物の果物は、まだ小さかった息子たちと一緒に、紙粘土でつくりました。




横から見ると、高床のタイの家の特徴をよく表しています。タイの家は、まっすぐな壁を嫌って、壁が上に行くほど狭まっています。
博物館にも一棟、タイの家がありますが、実際にバンコクでこんな家に住んでいる、お金持ちの友人がいました。チークの厚い板の床がひんやりとして、冷房なしでも、実に快適でした。




後姿も、なかなかよくできています。


4 件のコメント:

ポンチョ さんのコメント...

本物みたいなミニチュア、ミニチュアみたいな本物。聖なる木のそばにあるチャオ・ティーも、一瞬ミニチュアかな、と思いましたが、中に座っているお年寄り風な人間が見えるので、本物だな、と思いましたが、その後の説明にミニチュアの動物やお年寄りもあるそうで(笑)、「ん??さ、どっちだ」と慌てましたが・・・ミニチュアのわけないですよね。
こちらではちょうど、家の玄関先にあるベイシルを植えた祠みたいなものなのかもしれませんね。

さんのコメント...

ポンチョさん
お久し振りです。コメントありがとうございます。
チャオ・ティーはもともとがミニチュアみたいなものです。私の持っているものも、その意味ではチャオ・ティーの等身大に近いものです。
三番目の写真のような家の形をした古型は、日本の庭に置く、石の祠と同じくらいの大きさのものだと思っていただければ、間違いありません。
農村だと村全体のチャオ・ティーがあって、それは、たとえが悪いのですが、犬小屋ほどの大きさだったりします。
大木の近くで祀るのは、敬うより、たたりを恐れる気持ちの方が強いかもしれません。
石膏の動物は高さが8センチくらい、紙粘土でつくった人形は4センチ足らずのものです。

ポンチョ さんのコメント...

なんでも、聞いてみるものですね。説明してもらって、よく、分かりました。どうりで、なんか梯子とかベランダの作りが、実物にしては、おもちゃっぽいな・・・とは思っていたのでした。でも、タイだから、実物もこうなのかな・・・とか(笑)思ってました。では、また。

さんのコメント...

ポンチョさん
あはは、まさかね。
なんて、これよりひどい家にも住んでいる人もいっぱいいましたねえ。
壁がなかったり、壁の代わりに、肥料の袋やボール紙を張ったりした家に住んでいました。
でも、みんな幸せそうでしたね。ご飯は、来ないかもしれないお客さんの分まで炊いているから、いつ行ってもご馳走してくれたし...。