2010年6月23日水曜日

草掻き



バングラデシュの鎌の右の、鎌に似たものの正体は....、草掻きでした。




刃は、カーブした内側ではなくて外側についています。それを、地面に当てて、押して草をこそげ取ります。




異形鉄筋ではなく、別の材料を使って、わざわざ出っ張りをつくっているので、もしかしたら、その出っ張りに指をかけて使うのかもしれません。そうしたら、もっと力が入ります。

家畜が草を食べるような地域で、どうしてこんなデリケートな草掻きが必要なのでしょう?




それは、家々の庭と関係していると思われます。
雨量が多いバングラデシュですが、農家の庭は、どこも、そしていつも、裸足で歩けるくらい、美しく整備されています。

この写真と、上の我が家の、薄汚い庭の写真を比べると、ほんと、恥ずかしさがつのるというものです。




庭は屋根のない第二の部屋のようです。これは、かまど、



こうやって使います。




2001年の冬でしたか、カンボジア人数人とともに、バングラデシュを訪問したことがありました。
ある村を訪ねたとき、子どもが、コイタの草掻きとは別の種類の草掻き持っているのを、ちらっと見かけました。
泊めていただいていた、ウビニクというNGOのセンターに戻ってから、所長のJさんに、その草掻きを絵に描いて説明すると、「このあたりの草掻きじゃないなあ。見つかるかどうか、さがしてみますよ」、と言われました。私の滞在は短く、その話はそれっきりになっていました。

それから、一年ほどで退職して、私は八郷に来ました。
しばらくして、仕事でバングラデシュに行くことの多い、友人のT夫妻から、「またバングラデシュに行くけど、なにかお土産に欲しいものはない?」と、嬉しい申し出がありました。
欲しいものといえば、あの草掻きです。Jさんにも会うというので、また絵に描いて、詳しく説明しました。それでも、手に入るとは、考えてもいませんでした。

しかし、それから何年か後に、T夫妻が持って帰ってくれたのは、村で私が見かけた草掻き以上の、素晴らしい草掻きでした。Jさんがさがしてくれたのです。
「柄が、水牛の角でできている。めったにこんないい草掻きはありませんよ。特別ですよ」と、Jさんは言っていたそうです。




刃の形が、左右で微妙に違います。下の尖っているところは、角を利用して小さな草をとるのでしょう。




握り具合も上々です。
イスラムの国では、月は太陽以上に大切な存在ですが、握りが三日月になっているなんて、本当におしゃれです。




子どもが草掻き持っていたのを見かけたのは、数人のカンボジア人と一緒にバングラデシュに行っていたときでした。
私が、草掻きのことを熱く語っているのを聞いて、もと同僚のナリンが、「カンボジアにも、似たものがあるよ。チュクリのところで見た」と、言いました。そのときは、チュクリさんも一緒にバングラデシュに行っていて、「おう、あるある」、と言いました。

チュクリさんは、お百姓さんですが、村の長老で、伝統医療師でもあります。自分の庭にも、いろいろな薬草を植えています。植物への造詣も深く、庭は植物園のようでした。
ときには、霊媒師もしていて、訪ねて行ってみると、家の中から泣き声が聞こえたりしていて、声をかけるのをためらうこともありました。

バングラデシュからカンボジアに帰国して、すぐにチュクリさんの家を訪ねてみました。
ありました、同じ形の草掻きが、3本も4本も。新しいものは刃が扇形に張っていて、柄もごつごつしていますが、古いものは、刃の角が取れてすっかり丸くなり、柄もすべすべしています。
カンボジアにもあったなんて、灯台もと暗しでした。

さっそく、売っている場所を聞き、新しいのを手に入れ、恐縮するチュクリさんから、最も使い古した草掻きと取り替えてもらいました。
柄は欠けたのか、釘でていねいに補修してありました。




カンボジアの草掻きもまた、握り具合がいいものです。

いったい、草掻きの原型はどこから来たものでしょうか?
私が最初にこの手の草掻きを見て、写真に撮らせてもらったのは、フィリピンのネグロス島でした。写真が残っていますが、よく似ています。

こんなに似たものが点々とあるようでは、存外、ヨーロッパあたりに原型があったのかもしれません。


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